Bitter Sweet Kiss
テーブルの上に転がる2種類の錠剤。
そいつらを飲むのは、朝食を終えたオレのいつもの仕事。


「カイちゃんは偉いよね。小っちゃな頃からお薬飲むのを嫌がったことないものね」


真向かいへ座るキョウコちゃんがしみじみと言うから、思わず吹きだした。
そしたら「なに?」って真顔で訊いてきた。


「だってオレのこといくつだと思ってんの? 『エライ』なんて言われてもさ」

「でも月に一度の通院だって欠かしてないでしょう」

「だってさ、オレ、キョウコちゃんを悲しませたくないし」

「カイちゃん……」


あっ ヤベ。キョウコちゃんがマジ顔になっちゃった。


「ウソウソ。大丈夫だって!
発作だってずっと起こしてないんだし、オレのはさ症状軽いから。ね?」
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