Penalty★Game
「…って!!するかっ!!」
間近に迫ってきてた黒沢の顔を。
グイッと手で押しやった。
…危ない。
危うく流されそうになっちゃった。
よく考えたら。
いや、よく考えなくてもだけど。
ファーストキスがファミレスってどうなのよ。
しかも相手が…。
「“そーゆーコト”は好きな人とするもんでしょーが!!」
これは私だけに限ったことじゃなくて。
一般論だと思う。
だから、深い意味があったわけじゃなかった。
黒沢は。
私のそんな言葉に少し表情を動かすと。
「…そりゃそーだ」
そう言って、薄ら笑いを浮かべ。
氷が溶けて薄くなってきたコーヒーのグラスに手を伸ばした。
苦笑いなのかなんなのか。
笑みを浮かべた黒沢の顔が。
なんだか寂しげに見えた。