Penalty★Game
「あ、そうだ」
黒沢がゴソゴソとケータイを出してきた。
「…ん?」
「“ん?”じゃねぇよ。ケータイ出せ」
ケータイ?
なんで?
頭の上に“?”をいくつも浮かべた私に。
黒沢がため息を吐きながら言った。
「赤外線。アドレスとケー番交換すんの」
あ、なるほどね。
赤外線かぁ。
納得した私は。
ブレザーのポケットからケータイを取り出した。
ケータイの画面を見ながら。
“フッ”と唇の端っこを持ち上げる黒沢。
…その不敵な微笑みになぜか悪寒が走った。
そして黒沢は。
私のケータイを手にとると赤外線通信を始めた。
「…ん、できた。俺のも送っといたからな」
「あ、りがと…」
パタン、とケータイを閉じると。
黒沢は自分のケータイをポケットにしまい。
私にケータイを返してくれた。