Penalty★Game
「ちょっと待ってよ」
歩き出した黒沢と私の後ろから。
いや。
正確には黒沢の背中を。
歩美の声が追いかけてきた。
「久しぶりに会ったんだしもっとゆっくり…」
「ゆっくり何をするっつーの?」
黒沢がほんの少し口角を上げる。
歩美はその表情を見て顔をひきつらせた。
「それに…」
「え、あ…?ちょっ…!?」
手を引いていた腕で私の腰を抱き寄せると。
威圧感たっぷりに言った。
「…空気、読んでくれない?」
背筋に悪寒が走る。
言葉自体にじゃなくて。
言葉が纏ってる黒沢のオーラ、とでもいうのかな。
冷ややかで嫌悪感丸出しで。
怖い、としか言いようがなかった。