Penalty★Game
甘くて苦いオレンジジュース
ー「…花」
薄い唇をキュッと結んだ黒沢が腕を伸ばしながら目の前に迫ってくる。
近づいてくる黒沢の顔は。
見たこともないような真剣な顔。
なになに、何なの?
なんでそんな顔で見るの?
ちょっと、やめてよ。
こっち来ないでってば!!
私の叫びは声にはならない。
そのまま。
黒沢の伸ばされた腕は私を抱き寄せ。
手のひらが私の頬を包み込む。
そして。
自身の顔を傾けながら小さく囁いた。
「俺、お前のコト…」
「…ッ!!やーッ!!」
目前に迫ってくる黒沢の顔を腕でガードしながら叫んだ。
「って…?」
自分の声に驚いて我に返ると。
そこに黒沢はいなくて。
目に入ってきたのは。
薄いグレーの天井だった。