Penalty★Game
ゼロよりマイナスな距離
楽しみを待つのは。
時間が経つのがすごくゆっくり感じるけど。
イヤなことというものは。
その時があっという間にやってくる。
「花ー?」
「…今行くー…」
「まだ用意してるのー?」
「今行くってばーっ…」
部屋の外から聞こえるお母さんの言葉に。
ドアを開けて返事をする。
今日は土曜日。
現在午前8時45分。
黒沢は。
約束した15分前。
ホントに迎えに来たらしい。
らしい、ってのは。
私がまだ黒沢の姿を確認していないから。
そして、私はといえば…。
「…あーッ!!」
髪がうまく纏まらないーッ!!
学校じゃないし。
服に合わせてアップにして後れ毛クルクル巻いて。
な~んて思ってたのに。
うまく巻けないんだってーッ!!
鏡の前で格闘していた。