Penalty★Game

目の前の彼は。

蛇に睨まれた蛙のように。

黙って私の後ろにいる黒沢を見ていて。

私はといえば。

後ろから口を塞がれてるせいで。

頭ごと黒沢に抱きかかえられてる。





ち…ッ、近い近い近いッ!!

なんでこんなことになってんのよ!!





ドキドキドキと。

心臓が暴れだす。





背中に感じる私より少し高い体温は。

間違いなく黒沢のもので。

ほんのり香ってくる匂いは。

黒沢がつけている香水…だと思う。





「…俺の彼女に、何か用ですか」





黒沢の登場後。

一言もしゃべらなくなった彼に向かって。

黒沢がイライラ混じりに発した言葉が。

頭の真上から聞こえてくる。





「あ、いや…」

「用がないなら行きますよ?…花、行くぞ」

「え?ちょ…ッ!?」






煮え切らない返事をした彼を横目に。

黒沢は私の肩を抱いて。

そのまま歩き出した。



 

< 57 / 202 >

この作品をシェア

pagetop