Penalty★Game
目の前の彼は。
蛇に睨まれた蛙のように。
黙って私の後ろにいる黒沢を見ていて。
私はといえば。
後ろから口を塞がれてるせいで。
頭ごと黒沢に抱きかかえられてる。
ち…ッ、近い近い近いッ!!
なんでこんなことになってんのよ!!
ドキドキドキと。
心臓が暴れだす。
背中に感じる私より少し高い体温は。
間違いなく黒沢のもので。
ほんのり香ってくる匂いは。
黒沢がつけている香水…だと思う。
「…俺の彼女に、何か用ですか」
黒沢の登場後。
一言もしゃべらなくなった彼に向かって。
黒沢がイライラ混じりに発した言葉が。
頭の真上から聞こえてくる。
「あ、いや…」
「用がないなら行きますよ?…花、行くぞ」
「え?ちょ…ッ!?」
煮え切らない返事をした彼を横目に。
黒沢は私の肩を抱いて。
そのまま歩き出した。