Penalty★Game
「…調子ン乗ってんなっつーの」
「い、いひゃい…」
後退ったはずの黒沢が。
私の両頬を片手で掴んで。
私の顔をグイッと持ち上げる。
形勢逆転。
目が合った黒沢の表情は。
それはもう…。
さっきまでの狼狽えてたモノとはまるで違う。
意地悪な悪魔全開の。
不敵な笑みを口元に浮かべていた。
「…花チャン」
「ひゃい…」
両頬を掴まれてる痛さと。
悪魔の微笑みに捕まった怖さとで。
背中に寒気が走る。
「…お前の“恋愛の初体験”俺が全部貰うから、覚悟しときな」
ニヤリと口角を持ち上げてそう言うと。
黒沢は私の頬から手を離した。
「な、な、なんで初めてだってわかるのよ!!」
「…色気ないから」
「んなッ!?」
わざわざ言わせんなよ、と言いたそうな顔をする黒沢に。
なにも言えなかったのは。
私が本当に“初心者”だったからなのかもしれない…。