Penalty★Game

その風は。

ふわり、と。

まるで見えない指で梳くかのように。

黒沢の髪をさらっていく。

木漏れ日の中の栗色の髪は。

普段よりも柔らかく光に透ける。





…触りたい…。





理由なんてない。

ただ。

その風にさらわれた髪に。

触れてみたくなったんだ。





自分の意識とは関係なく。

無意識にゆっくり。

黒沢の髪に手を伸ばす。





足に感じる微かな髪の感触だけでも柔らかいのに。

直接触れたらどれだけ柔らかいのかな…。





なんて。

若干変態オヤジにもなりかねないようなことを思っていたら。





…フワッ。

指先が黒沢の髪に触れた。





「…わ…っ」





思わず声をあげてしまうほど。

黒沢の髪は柔らかくって、サラサラで。

手触りがよくて。

想像以上に柔らかかった。



 

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