Penalty★Game

「…うわ…っ!!」

「…ん…」





その振動に気付いたのか。

黒沢が頭を動かした。

黒沢の動きに反応するように。

私は髪に触れていた指を引っ込める。





ちょいちょいちょいちょい!!

こんなときに誰!?

なんでこんな間が悪いの!?

少しは空気読んだらどうよ!?





…って。

ケータイに文句を言っても仕方ないんだけど。





ケータイの震えはすぐに止まった。

たぶんメールだ。





…ホントに間の悪い…。





黒沢はモゾモゾと動いたけれど。

まだ目を開けそうにない。





…髪、気持ちよかったな…。





サラサラで柔らかくて。

すごく触り心地がよくて。

正直。

もっと触っていたかった。





でも。

一度引っ込めた手を。

もう一度伸ばす勇気は。

あいにく持ち合わせていなかった。



 

< 90 / 202 >

この作品をシェア

pagetop