Penalty★Game
「…うわ…っ!!」
「…ん…」
その振動に気付いたのか。
黒沢が頭を動かした。
黒沢の動きに反応するように。
私は髪に触れていた指を引っ込める。
ちょいちょいちょいちょい!!
こんなときに誰!?
なんでこんな間が悪いの!?
少しは空気読んだらどうよ!?
…って。
ケータイに文句を言っても仕方ないんだけど。
ケータイの震えはすぐに止まった。
たぶんメールだ。
…ホントに間の悪い…。
黒沢はモゾモゾと動いたけれど。
まだ目を開けそうにない。
…髪、気持ちよかったな…。
サラサラで柔らかくて。
すごく触り心地がよくて。
正直。
もっと触っていたかった。
でも。
一度引っ込めた手を。
もう一度伸ばす勇気は。
あいにく持ち合わせていなかった。