峰岸の恋する宇宙-そら-(短編)
あたしも見たいよ。

峰岸の宇宙…見たいんだよ。



峰岸が受験する関東の公立高校、あたしじゃ逆立ちしたって受からない高校。


峰岸は、また離れてく。

あたしから、ニ歩…三歩……ううん、あたしはずっと走ってる。


峰岸は気付かない、息を切らせているあたしに、気付いてない。




突然、関東に行くって…何?

何で?


あたしは、峰岸と同じ高校に行きたいよ。

一緒に帰りたいよ。



峰岸の見ている宇宙は……どこ?


峰岸は、どこまで見てるの?




「ねぇ、峰岸…宇宙はどこから見える?」

「そうだなぁ…」


峰岸は右腕を上げ、入道雲の向こうを指差した。


「この雲のずっと上かな。雲を抜けて大気を抜けて、突き抜けてく」


雲を抜けて、大気を抜けて……。



あたしは、峰岸の差した空を見上げる。


首が痛くなるまで見上げる。




入道雲の向こう、ずっとずっと向こう………。



「想像するんだ。星を掴むみたいに、飛ぶ自分を想像するんだ。思いきり飛んで、下に雲を見送ると、空色がだんだん濃くなっていって、黒と混じり合う所が宇宙の入口だよ」




………わかんない。
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