峰岸の恋する宇宙-そら-(短編)
「そこは闇みたいな空間で音も無い、足場もない。でも小さな星が宝石みたいに散らばっているんだ」



………わかんないよ。


峰岸…あたしには見えないよ…。

星を掴む感覚も、飛ぶ感覚も……あたしにはわかんないよ!



見てきたみたいな峰岸の話。


なのに、何にも見えてこない。


空にも雲にも………峰岸にも手が届かないよ!




「……永山?…泣いてるの?」

「泣いてなんかいない」



あたしは、歪んでいく視界を正常に戻そうと、手の甲で目を擦る。


何回も何回も。



ツンと痛む鼻孔も、喉の奥から込み上げる鳴咽も。



必死で押さえた。


お願いだから、出てこないで…。



けど……けど……。




「……ふっ……えっ……うえっ…」

「永山?」

「ふえっ…うぇっ………うああぁん……!」

「どうしたの?!永山!」




困惑してる峰岸。



泣くつもり無かったのに、泣きたく無かったのに。



涙は次々と、どこから作られているんだかわからないくらいに…毎分100ミリリットルくらい湧き出てるんじゃないかって思えるくらいに。



流れてくるんだ。
< 14 / 94 >

この作品をシェア

pagetop