峰岸の恋する宇宙-そら-(短編)
こんなあたしを知ったら、峰岸は軽蔑するかな。


きっと…軽蔑する。


友達ですら、無くなる。



峰岸、峰岸……。


あたし、どうすればいいかな?

わかんないよ。

どうすればいいのか、わかんないよ。




「永山、泣かないでよ」

峰岸は、うつむくあたしを覗き込む。

視界の隅、悲しそうな峰岸の顔。



そんな…峰岸がそんな顔しないでよ。


あたしにつられて、そんな泣きそうな顔しないでよ。


あたしは特別かなって期待しちゃうから……。


「峰岸……教室戻ってよ」

行ってよ。

これ以上、あたしをみじめにしないで。



「ダメだよ、永山泣いてるのに、置いて行けないよ」


……嘘。


峰岸は、いつもあたしを置いて歩いてるじゃない。


関東に行っちゃうじゃない。


気付いてもいないじゃない。

なのに、置いて行けないなんて言わないで。


峰岸……残酷だよ。


残酷なくらいに気付かないから、優しいから……あたしは何にも聞けなくなるんだよ。



「峰岸…あたしなんか放っておいて…戻ってよ」

「嫌だよ」

「戻ってよ!教室に行ってってば!」

「嫌だって」

「馬鹿!」
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