峰岸の恋する宇宙-そら-(短編)
手紙の筆跡や、間違った文字を塗り潰して隠してある所とか…そういうのが好きなんだ。



ねぇ、峰岸。

あたし、結構頑張ってるよ?


峰岸が居なくて、会えなくて、淋しいけど…頑張ってるよ?


バイトを始めたのは、お金を貯めたいから。

峰岸を追い掛けて行きたいから。


ただ、それだけ。



単純かな?


でも、それが今のあたしにできる、精一杯の行動なんだ。


今できる事を懸命にやる。
峰岸は、いつもそう言ってたね。


だから、あたしも…。
泣きたくないから、後悔したくないから、頑張ってる。


それでも、峰岸を想って泣きたくなる時があるんだ。


そんな時は、空を見上げる。


屋上で峰岸と…手を繋いで見上げた空を思い出すんだ。


きっと…峰岸も同じ空を見てる。


峰岸も、宇宙に行く為に頑張ってるんだよね。



関東の高校を受けたのは、もっと勉強したいからだと言ってた。

宇宙に行く為にはまだまだ知識が足りないから、もっと上に行きたいって……。



峰岸は、どこまで登っていくんだろう。

あたしはやっと、一段目に上がった所だよ?


ねぇ…峰岸…。

会いたいよ。
< 21 / 94 >

この作品をシェア

pagetop