峰岸の恋する宇宙-そら-(短編)
峰岸と離れてから、また春がきて、夏が過ぎて…冬になって…。


長い長い…時間。
峰岸の居ない時間。



ねぇ、峰岸。
あたし、また…峰岸に会えない春がくるのが怖いよ。


会えない距離…会えない時間…会えない日常…。


そんな現実だけが、あたしの頭の上を過ぎていくんだ。


峰岸は、淋しいとは思わない?

あたしに会いたいと思う?
そんな風に思う時、ある?
懐かしくなる時はある?



(久しぶりに会いたいね?)

そう手紙に書く度、峰岸からの返事はこう。

(時間ができたら会って話しようよ)



時間って、いつ?

気が遠くなるくらい?

峰岸、地球と宇宙は、時間の進み方が違うんだよ?

あたしとの時間は、宇宙とは違うんだよ?



峰岸からの返事は社交的で、悲しいくらいにありきたりで……。

不安になる。

相変わらず、宇宙を見ている峰岸。
手紙にも、毎回宇宙の文字。


峰岸…宇宙よりも遠い。


峰岸は変わらないのに、夢も、あたしに掛ける言葉も、何にも変わらないのに。

どうして不安になるのかな?


峰岸。

あと少しで、桜が咲くよ?

峰岸と離れた季節が、またくるね。
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