峰岸の恋する宇宙-そら-(短編)
アスファルトみたいな灰色の空、静かに流れる雪雲。


峰岸は東京から、東北新幹線に乗って、何回も電車とバスを乗り継いで帰って来る。



あたしは祈った。


早く雪が止んでくれますように。


峰岸の乗った電車が、雪で運転見合わせなんかにならない様に。



祈った。





深夜、峰岸から、今自宅に帰って来たって伝えるメールが届いた。









2日、早起きしたあたしは、真っ先に部屋のカーテンを開いた。
勢いのまま窓も開く。



雪は止んでいた。


止んではいたけど、まだ空の高い所に厚い雪雲は停滞していて、びっしりと窓に張り付いた結露は、外の寒さを伝えてきていた。


刺す様に入り込んでくる凍りそうな冷気に、肩をすくませて身震いしながら窓を閉めた。



峰岸との待ち合わせは午後1時。


朝食にお節の余りを食べながら、早く午後にならないかなってばかり考えた。


峰岸も今頃、朝ご飯を食べてるかな?



今、峰岸はこの街に居る。

そう思うだけで、あたしの頭は、朝ご飯を食べたお腹以上に峰岸でいっぱいになった。



午後になっても、天気は相変わらず曇りだった。
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