峰岸の恋する宇宙-そら-(短編)
ねぇ、峰岸。

こんなあたしを、峰岸は知らないよね?

考えてもいないかな?

聞いたら、驚くかな?



峰岸、あたしね、教えたい事や伝えたい事、たくさんあるんだ。

今日の夕方までに伝えきれるかな?


峰岸の話も聞きたい。

いっぱいいっぱい、峰岸の声が聞きたい。


二年八ヶ月分、聞きたい。


「寒いから、暖かい物買おうよ」


峰岸の言葉にうなづいて、あたし達は近くのコンビニに行った。

暖かいお茶とコーヒー、肉まんを買って、公園へと向かった。


この街にファミレスはない。
車で行けばあるんだけど。


あたしと峰岸は、公園にある屋根のついたベンチの下、並んで肉まんを食べた。


それから、たくさん話をした。


学校の事、笑える友達の話や読んだ本の事とか…。


あたしは、うなづきながら聞いてた。


ただ、嬉しくて。
峰岸を見ているだけで幸せで。


お互いに話をしながら、笑い、驚き、顔をしかめたりする峰岸を見てる。

嬉しくて。


今、あたしと峰岸は同じ時間の中に居る。

つい昨日まで、遠い土地に離れてたあたしと峰岸。


だけど今は、同じ場所で、呼吸してる。
< 36 / 94 >

この作品をシェア

pagetop