峰岸の恋する宇宙-そら-(短編)
「そういえば、友達の従兄弟に天体観測してる人がいるんだ」
「そうなんだぁ」
「観測所を見学させてもらったんだけどさ。すごいんだ!土星の写真とかもあってさ」


峰岸の瞳はキラキラしてる。

全然、曇ってない。

ただ一つの、宇宙という物を、ずっと見続けているんだね?

峰岸のそんな純粋さも好き。

いくら大人っぼくても、宇宙を語る時の峰岸は、小学生から変わらない。



あたしは、変わらない峰岸に安心しながら、宇宙しか見ていない峰岸が怖かった。



どんどん、どんどん…離れて行ってしまうから。



でもね、あたしも決めた事があるから。

それを今日、峰岸に伝えるって決めた。



峰岸。

あたし、峰岸に手が届くかな?

東京に行けば、峰岸とこうして、ずっといられたら…いつかは手が届くよね?


あたし、ずっと手を伸ばしていたんだ。
峰岸に、手を繋いでほしかったんだ。



中学校の屋上、手を繋いで二人で、授業をサボって空を見たね?


キスしてくれたよね?


意味は今でもわかんない。


けどあの時、あの一瞬、峰岸と近付けた気がしたんだよ。


また近付きたくて、追い掛けてたよ。
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