峰岸の恋する宇宙-そら-(短編)
すごいねって言うと、峰岸はいつも首を横に振る。



「俺は、努力しなくちゃ夢を叶えられないから。今できる事をしているだけだよ。叶えられない夢なんか見たくないじゃん。叶える努力をしないなら、最後までただの夢になるよ」




そんな峰岸を大人だと感じる。



だってあたしは、夢なんてないんだ。


自分のやりたい事がわからないんだ。


進路がどうのって話もピンとこない。



考えるのは、峰岸と同じ高校に行けたらいいなって事くらいで……。




そんな自分を情けなく思ったりして……。



峰岸を見てると、焦る事もあるんだ。


先を先を見ている峰岸は、あたしなんかよりも大人で、何にも考えてない自分は、いつか峰岸に置いていかれちゃうんじゃないかって。




峰岸は空を掴もうとしてる。


精一杯努力して、いつも上を見上げてる。


目先しか見てないあたしなんかより、ずっとずっと先を、未来を、空を、宇宙を。


そして、宇宙のずっと先まで……。



ねぇ、峰岸。


峰岸が宇宙に行く頃、あたしはどんな大人になってるんだろう。
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