峰岸の恋する宇宙-そら-(短編)
だから、あたしは峰岸を追い掛けるのを、止めた。


この八年間、忘れる為に必死だった。


いつになれば、あたしは峰岸を忘れられるのかって…先の見えない強すぎる自分の想いを、怖いとさえ感じた。


日常の中、峰岸との思い出を見つける度に頭を振って、強くなれって自分に言い聞かせて、こんなに深くあたしの中に根付いてる峰岸の痕跡を恨んだりしたりして……生きてきたよ。


八年間…生きてきたよ。



だから、大丈夫だって思い始めてた。


あたしはもう、大丈夫。



澤村くんが居てくれる。





なのに……。




どうして………。





ここに、居るの?




あたしも、峰岸も……。



何でここに、居るの?



会うはずは、ない。

ある訳がない。



その諦めが、あたしの中での……想いを断ち切る手段の一つだったんだよ。




見なきゃ良かった。

振り返らなきゃ良かった。



遅い……。


だって今…隣には峰岸がいる。


峰岸の存在を噛み締めて、張り裂けそうなくらいに…震えてる自分がいる。


………峰岸。


あたしの心……壊れそうだよ……。
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