峰岸の恋する宇宙-そら-(短編)
あたしの、幸せ。

峰岸の、夢。



宇宙へ行く……峰岸。


峰岸…峰岸……。


峰岸!!


しおりを握りしめ、あたしはバーを飛び出した。

このままじゃ、ダメだ。

ダメだよ!



(ありがとう!永山さん)


峰岸は、笑ったじゃない。
花びらを受け取って、笑ったじゃない!




「…峰岸」



地下階段、地上へと上がって行く峰岸の後ろ姿……。


「峰岸!!」


峰岸は、振り向いた。

振り向いて、階段を駆け上がって来たあたしを…驚いた表情で見つめる。




「………永山」


立ち止まり、向き合う峰岸の胸に、あたしは握りしめていたしおりを押し付けた。



力いっぱい…今のあたしの…精一杯の……峰岸への……想い。





「……どうか…どうか峰岸が……無事に地球に帰って来れます様に…」

「永山……」

「お願いします!どうか峰岸が元気に!無事に!帰って来ます様に!!」


あたしの願い、想い、あたしはこの先幸せじゃなくていいから!
あたしの寿命を十年減らしてもいいから!

峰岸を地上に帰して下さい!

また、峰岸に………会わせて下さい!

頑張るから…あたし頑張るから!
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