峰岸の恋する宇宙-そら-(短編)
「峰岸……どうか…無事に…」


帰って、来てよ。


それだけでいいから。

それ以上、望まないから。



峰岸の胸に押し付けたしおり……あたしの手の上に、峰岸の手が重なる。


握りしめてくれる…温もり…。


峰岸、峰岸。






ねぇ…………好きだよ。


やっぱり、今でも大好きだよ。





峰岸の手…温もり…あたしを見つめる優しい瞳…。





「……永山、泣いてる」

「泣いてなんかいない」


あたしの強がりに、笑う峰岸。





「永山……泣くなよ…」


峰岸の腕が…あたしを包み込む。

あたしの頭、峰岸が頬を擦り寄せてくる。


「泣くな…」



峰岸………。




「帰って来るよ。当たり前だろ?」

「……うん」

「泣いてる永山、置いて行かないよ」

「……うん」




峰岸の胸に押し当てた耳から、力強い心音が響く。




峰岸…峰岸………。




どうかまた、この心音が聞けます様に………。


あたしの願い、想い……ただ…峰岸が無事であります様に。




あたしは、一生懸命、峰岸の為に、祈った。
< 64 / 94 >

この作品をシェア

pagetop