峰岸の恋する宇宙-そら-(短編)
でも、峰岸は帰って来る。

必ず笑って、永山って呼びながら、手を振りながら帰って来る。



その時こそ伝えるんだ。




ずっとずっと、好きだったよ。

ずっとずっと、峰岸を見ていたよ。




峰岸はきっと…抱きしめてくれる。


宇宙を見ていた瞳であたしを見て、空に伸ばしていた手をあたしに差し出して。


桜の花びらを受け取るみたいに、あたしの想いも、受け取ってくれるよね。


そう、信じてる。




ねぇ、峰岸。


その時こそ、あたし達は近付けるね。


屋上での、あのキスの瞬間みたいに、近付けるね。


手をつなぎながら、また空を見上げようね。



そして、峰岸が宇宙で見た景色を教えて?

峰岸が見てきたものを、あたしにも感じさせて?

同じものを見てるみたいに、たくさん話を聞かせて?


峰岸の声で、表情で、仕草で、笑顔で…あたしは全て感じ取れるから。



だから……行ってらっしゃい。


峰岸。


行ってらっしゃい。



楽しんで、行って来てね。
夢の続きを、見て来てね。

あたしは、地上で待ってるから。

峰岸が降りて来るのを待ってるから。


ね、峰岸。
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