峰岸の恋する宇宙-そら-(短編)
『なぁ、永山』

呼ばれて、慌てて泣きそうになる声を押さえる。


「…何?」

『……会いたいな』





峰岸…………?



『俺、永山に会いたい』




初めて聞く……峰岸の…峰岸からの…言葉…。


峰岸!


「…………あた…しも」


峰岸に、会いたい。


「会いたいよ、峰岸…会いたい…」

『うん…』

「すごく会いたい…今すぐ…会いたいよ…」

『うん…』

「だから…待ってるからね…峰岸の事……待ってる」

『うん……』



声が、泣き声になっているのがわかった。

でも、止めても押さえても無理だって事もわかってた。



あたしは、自分でもうまく話せてないって気付いていたけど、どうにもできなくて、できないけど、峰岸が優しい返事を返してくれるから…声を出してた。

一生懸命、伝えてた。


峰岸。


………会いたい。



『俺、永山の所に帰るよ』

「うん」

『宇宙から戻ったら、永山に1番に会いに行く』

「………うん」





近付いてる。

あたしと峰岸の距離。


今居る場所は違うけど、繋がってるって感じられた。


手が……届きそうだ。

峰岸に届く……。
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