峰岸の恋する宇宙-そら-(短編)
―会いたい―



峰岸の言葉。

距離も時間も、一瞬で埋めてくれる。



ずっと……求めてたよ。

あたしはずっと、峰岸を求めてた。

八年間も、ずっと求めてた。

自分を偽りながら、心では求めてた。



いつも無意識に峰岸を探してたんだよ。


ずっと……探してたよ。



だから、もう逃げない。

自分を偽らない。



峰岸を追い掛ける。

峰岸に着いて行く。



峰岸を待ってる。


忘れるつらさを知ったから、想う楽しさ、嬉しさ、幸せも知ったんだ。



峰岸と、一緒に居る。

一緒に居たい。



だから……。



「待ってる…峰岸を待ってる」

『うん、帰るよ』

「打ち上げ、テレビで見てるから…」

『うん、手を振る』

「絶対だよ?」

『うん』

「お守り持ってね」

『あ、テレビ見たんだ?』




峰岸との電話は短かった。


けれど、峰岸の声、受話器から聞こえる微かな呼吸とか、笑い声とか…時間で計れない安心で満たしてくれた。


だから、あたしの不安は、受話器を戻した時には消えていたんだ。




消えていたから、あたしはその夜、信じられないくらい熟睡できた。
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