峰岸の恋する宇宙-そら-(短編)
テレビの中の映像が3時間前の映像を映した。

シャトルに乗り込む宇宙飛行士の姿だ。

そうか、峰岸はもう、シャトル内で作業してるんだ。

カメラに向かって手を振る、七人の宇宙飛行士。

その中に、白い宇宙服を着た峰岸が見えた。

峰岸、手を振ってる。


テレビなのに、手を振り返して浮かれる自分がいた。



再び映像がシャトルへと変わった。

発射10分前……。


峰岸…。

あたしは、無意識に両手を組んで祈ってた。


どうか…どうか無事に。


テレビから聞こえる10秒前のカウントダウン。

巨大な白い鳥みたいなシャトルの尻尾から、オレンジ色のエンジン光が見えた。


手に……汗が滲む。



ゼロ!


その瞬間、シャトルから炎が吹き出した。
白煙と、地鳴りみたいな音を地上に残しながら、登って行くシャトル。

峰岸が乗ってるシャトル。

まるで空から引っ張られているかの様に、ぐんぐん…登ってく。


光を吐きながら、雲を抜けて、ただまっすぐに……。




峰岸。

行ってらっしゃい。


気をつけて………。


泣く事ないのに出てきた涙を拭きながら、また、祈った。
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