峰岸の恋する宇宙-そら-(短編)
あたしは誇らしかった。

峰岸が、誇らしかった。









峰岸の地球への帰還が四日後に迫り、あたしはアメリカへと向かった。


峰岸が帰って来る予定地は、フロリダのケネディ宇宙センターって所。

天候によって延期もあるらしいけど、あたしは誰よりも早く、峰岸が帰って来る場所に行きたかった。



迎えに行くって決めてから、あたしは頼りない英語の語学能力を補う為に、塾の英語講師の友達に頼んで、英語の再勉強をした。


それでも不安だから、ハンドブックは持って行ったけど。

ちゃんと勉強しておけば良かったなんて、今更後悔した。





アメリカへ行く飛行機の中、ずっと峰岸の事ばかり考えた。


飛行機の天井を見上げながら考える。


この飛行機よりも、峰岸は高い所にいる。



あたしの中では、飛行機以上に高く飛ぶものは想像できない、だから実感はない。


けど、峰岸が楽しそうだったから、あたしはそれだけでいいって思う。


宇宙での峰岸は、子供みたいに笑ってた。


それを見ると、理解とか説明とか…そういう風に言葉で表せるものを、遥かに越える満たされた充実感が伝わってくるから。
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