峰岸の恋する宇宙-そら-(短編)
峰岸の帰還当日。


天候は晴れ。


って言っても今は夜。
予定時間は夜の8時過ぎになるらしい。


それでも見物人はたくさんいて、あたしもその中に混じってた。


家族か身内じゃないと、空港内には入れないんだって。

やっぱり峰岸に言って、許可してもらえる様に頼めば良かったかな。



でも見物人の中には日本人もいて仲良くなった。

留学生の矢口くん。


矢口くんも宇宙飛行士を目指していて、候補生の試験を受けるみたい。


色々聞いた。


宇宙飛行士は世界中の数千人の中から、何次もの試験を通過して、数十人しか選ばれない事。

それから候補生としての過酷な訓練がある事。

勉強する教科が二百以上ある事。

宇宙飛行士になれても、クルー、つまり乗員に選ばれる可能性が必ずではない事。

たとえクルーに選ばれたとしても、実際乗れるまでに何年もかかる事。

今回の打ち上げも、2年近く延期されてた事も。



すごいとしか思えなかった。

峰岸は大変だったって話を全然しないから、あたしには初めて聞く事ばかりだった。

そんな事を想像すらさせなくて、楽しいと言ってた。


…峰岸はすごいよ。
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