峰岸の恋する宇宙-そら-(短編)
そんなに頑張っていたんだね。

宇宙行きは、努力した当然の結果だよ。

頑張った峰岸は、宇宙を見る資格がある。


知らなかった無知な自分が情けなくなった。





空港の官制塔みたいな所から、アナウンスが流れた。
英語だからよくわからなかったけど、降りてくるって矢口くんの興奮した声で理解できた。


峰岸が帰って来る。


とうとう帰って来る。

夢を叶えて……。


双眼鏡を構えて夜空を見上げる矢口くん。

あたしも空を見上げる。


見えないって呟いたら、大気圏に入ってから何回も旋回するんだって教えてくれた。

火の玉みたいになる速さだよって聞いて…不安になった。

不安で膝が震えて…思わずあたしは地面に屈み込む。

目をかたく閉じて、両手を組みながら必死で祈る。



峰岸!

どうか無事に降りて来て!


不安で不安でしかたなくなってた。


打ち上げの時よりも不安になってた。


峰岸、峰岸……。


帰って来てね。


峰岸の帰る場所は、あたしの所だよ。


…会いたい。


早く会いたい!



峰岸に会いたい!


抱きしめたいよ…峰岸!
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