峰岸の恋する宇宙-そら-(短編)
永山へ


今、最後の調整中。
休憩中に書いてるよ。

電話では伝え切れない気持ちを、手紙で伝えるよ。


永山、俺はね、永山の気持ちに気付いてた。
でも俺は焦っていて、自分の事ばかりで、たくさん傷付けたよな?


ごめんな?


こんなに焦らなくても、いつか俺は宇宙に行けたと思う。

でも早く、自分の目で見たかったんだ。


宇宙へ行けば世界を知れる。
そんな傲慢さがあったのかもしれない。



でも、それだけじゃないよ?


宇宙から地球を見て、その中に永山がいるんだって感じられたら、見つけられたら…その時こそ、まっすぐに永山と俺は向き合えるって思っていたんだ。


多分、桜の花びらを永山から貰った時から…俺は永山を見ていたんだと思う。

ずっと励まされてきたんだ。


東京で会えた時、信じられないと同時に、嬉しかった。

奇跡だったよな?


泣く永山を見て、抱きしめて、はっきりと気付いたんだ。


永山、伝えるよ。

帰って伝える。

宇宙を、地球を、俺自身の事を。


帰るよ、永山。


俺は必ず、お前の居る場所に帰るよ。


だから、行ってきます。


行って来るよ、永山。
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