六色の色
HRの後、六は帰る支度をしていた。
教科書と参考書をバッグへと入れていく。特に入ってる部活もないので放課後は割と暇だ。
すると海弥が近づいてきて六の肩をたたく。
「ねぇ、律千さん。ちょっといいかな。」
「ん?」
顔を上げると海弥が笑顔のまま話しかけてきた。六は少し苦笑すると「何?」と返す。
「今日はありがとう。少し気が楽だったかも。女子のみんなも友だちになってくれたし・・・」
「そう?それはよかった。私、時岡さんの事キレイと思ってみてただけだよ。何もしてないって」
「・・・そうなの」
ふいに海弥は目を細めた。六はそれを見て海弥が気分を害したのかと思い少し焦る。
「あ、褒めてるんだよ?」
「え?あ・・そうなんだ。よかった」
あんまり表情を変えずに笑う。その時、ドアの方から芽琉の声が聞こえた。
「六ー!早くー!」
「あっ、今いくねー」
六は芽琉に答えながらバッグを持って肩にかける。そして通りすがろうとすると「六っていうんだ・・・」とつぶやいた声が曖昧に聞こえた。六はあんまり深く考えなかったが海弥の方から聞こえた気はした。
「じゃあね、律千さん」
「あ、うん。じゃあまた明日」
パタパタと六は芽琉のもとに行く。しかし気が付かなかった。海弥がニヤリと笑っていることを。