六色の色
放課後。
六は部活に入っていないため、普通に帰れるハズだった。しかし先生に雑用を頼まれたため遅くまで残っていた。
やっとプリントが終わり、職員室から教室に戻ろうとした。てくてくと歩いていると途中で昌也に会った。
「あ・・・律千さん。海・・・時岡見なかった?」
「ううん、見てないよ?どうしたの?」
「いや・・・一緒に帰るはずだったんだけどいないから探しているんだ。」
昌也は困った顔をしてうつむいた。六はうっすらと笑うと昌也に笑いかける。
「じゃあ、見たら言っておくね!」
「うん・・・ありがとう。」
六は昌也と別れるとあたたかい気持ちで教室に向かった。
六にしてみれば無口であまり喋れない昌也と会話できるのは「特別」な気がして嬉しい。
あまりクラスでも見せない表情も見せてくれる。
困った顔も
寂しそうな顔も
照れ笑いも
全部、全部。
海弥にはもっと見せてくれるんだろうなー、と思うと少しずるい。
昌也はきっと好きなんだ。六は少し寂しい気持ちになった。本人達は否定しているが。
最近は海弥とも付き合いやすくなり六も受け入れてきた。
「いい子だし・・・悪気もないんだろうな」
あまり人と付き合いのいいとはいえない六にとってありがたい。友達が増えるとはいいことだ。