あなたに映る花
すると凛は、少し考えるようなそぶりを見せたあと――
「……兄君の鷹直様のお部屋から、鷹直様の着物を一式持ってきてください。派手な物や正装ではなく、なるべく質素な物を」
「…なぜですか?」
「持ってきて頂ければわかります」
――そして今に至る。
私が選んできたのは、薄緑の着物に地味な色の袴。
凛はそれを色々と確かめる。
一通り終わると、強く頷いてとんでもないことを言い出した。
「これでいいでしょう。――じゃ、脱いでください」
……はい?
「なにモタモタしてるんですか」
そう言った凛は、容赦なく私から着物を剥ぎ取っていく。
「ちょ、ちょっと待って凛――」
「今まで何回も着替え手伝ってるじゃないですか。今更恥ずかしがってもしょうがないでしょ」