あなたに映る花
            
「!?」

あまりにも声が大きいので、思わず足を止める。

振り返ると、数人の男達が、ひとりの町娘の腕を掴んでいた。

私は遠巻きにそれを見ている町人の所へ走る。

「何があったんですか!?」

そこにいた年配の女性は、眉を潜め声を低めた。

「あの男達が酔っ払って彼女にぶつかったのさ。……気の毒に、あのまんまじゃ男共にいいようにされちまう」

そして、ハアとため息をついた。

「助けてあげたいけど、そんなことしたら斬られちまうよ……」

「そんな…!」

私が愕然とした時。

「も、申し訳ありませんでした!」

「るせえ!」

必死で謝る娘の右腕を、ギリッとねじ上げる。

彼女の目尻に光る涙が零れ――

私はたまらず走り出していた。



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