あなたに映る花


――パシッ。

「……いい加減にしてください」

景くんの手が、取り巻きの手首を捕らえる。

そしてそのまま体が前のめりになったかと思うと――

霞んでみえるくらいの速度で、景くんが取り巻きの腹へ蹴りを入れた。

取り巻きはそのまま吹っ飛んでいく。

「私一人ならまだしも、関係のない先輩方まで巻き込むなんて…」

景くんが、キッと田沢を睨みつけた。

「言語道断です!」

二人目の手が後ろから伸びる。景くんはそれを掴むと、一本背負いを食らわせた。

そしてそのまま体を反転させ、斜め後ろの奴にひじ鉄を入れる。

左右から二人が飛び掛かってきたかと思うと、景くんは一瞬にして消え、取り巻きはお互い頭突きしあって崩れ落ちた。

< 11 / 168 >

この作品をシェア

pagetop