あなたに映る花
手を宙に浮かせたまま、呆然と小さくなっていく背中を見送る。
そんな私を見て、間宮様がクスクスと笑い出した。
「凄い…君って、ホント…面白いよ…」
腹まで抱えるから、私はだんだん不安になってくる。
「わ、私…彼女に嫌われてしまったのでしょうか…」
縋る気持ちで斎藤様を見ると、彼は困惑気味の表情で腕を組む。
「……あー、その、だな。少なくとも嫌われちゃいねえから安心しろ…」
その言葉に、ホッと息をつく。
「…よかったです…」
「…いいかどうかは別だがな……」
ひっそりとした呟きは、私の耳には届かなかった。
ふと、何かの視線を感じる。
振り返ると、そこには先程状況を話してくれた年配の女性だった。
彼女はつかつかと歩いてくると、私の腕をぐいっと引っ張る。
「何突っ立ってるんだい!早くこっちへ来な!」
「え、え、あの…」
私が戸惑っていると、もう片方の手首を大きな手が掴む。
「待ちな。俺達はそいつに用があるんだよ」