あなたに映る花
……弓鶴様の瞳は夜色。
間宮様は琥珀色(薄い茶色)。
夕霧様は夕焼け色。
私は。
「鳶色、でしょうか?私の目は…」
弓鶴様は、私から身を離すとじっと私の目を見つめる。
「おう。空を自由に舞う鳶の羽根の綺麗な色に染まってる」
その優しい言葉と瞳に、私は心が凪いでゆくと同時に可笑しさがこみ上げてきた。
「文は…私のことだったのですか」
クスクス笑いながら呟くと、弓鶴様が困ったように笑う。
「届いたときは驚いたぜ。あの下手くそな男装を信じて、あろうことか惚れちまう奴がいるなんてな」
「へ、下手くそで悪かったですね!」
ムッとして言うと、後ろで眺めていた間宮様がニヤッと笑った。
「だけど、そのおかげで弓鶴君が嫉妬しちゃったんだよねー。その女の子とお兄さんの着物に」
……兄上の着物?
「どういう意味ですか?」
首を傾げると、弓鶴様はバツが悪そうに目を逸らす。