あなたに映る花
じいいいーっ
と見ると、弓鶴様は観念したようにため息をついた。
「……兄貴とは言え、他の男の着物をお前が着てんのが気に食わなかったんだよ」
ムスッとしながら言う様は、まるで子供のようで……。
「…っ…ふふっ」
「な、何笑ってんだよ!」
弓鶴様が、手の届く存在になった気がした。
「でも、なんで嫉妬なんかしたんですか?」
ふと疑問に思って問い掛けると、弓鶴様はガクッと肩を落とした。
その肩を間宮様がぽんと叩く。
「お疲れ様」
「何がですか?」
間宮様に聞くと、面白そうな目で意味深な答えが返ってきた。
「次はちゃんとわかってあげなよ」
「?は、はあ…」
と、外から夕霧様の声が飛んできた。
「和陽。まだ用は済まないのか」
その台詞で夕霧様を待たせていたことを思い出した。
それにこれ以上居ては店の迷惑になりかねない。
「行きましょう、弓鶴様」
声を掛けると、弓鶴様はまだ落ち込んだ顔のまま黙って頷いた。