あなたに映る花
四人で、暫く町を歩く。
人から奇怪な目で見られ最初は恐かったけど、ずっと弓鶴様が手を握っていてくれた。
…あの女の子も、こういう気持ちだったの…?
日が傾きかけた頃。
突然、前を歩いていた間宮様と夕霧様がこちらを向いた。
「…どうした?」
弓鶴様が訝しげに聞くと、珍しく夕霧様から話し出した。
「斎藤さん。俺と和陽は少し所用があるので、先に八丁堀へ帰ります。斎藤さんは彼女を送ってきて下さい」
その淡々とした口調に弓鶴様は軽く頷く。
「おう。わかった」
「…僕が言ったら絶対信じないくせに、部下のえこ贔屓は良くないですよ」
「お前と夕霧じゃ日頃の行いに差があんだよ」
ぶうぶう口を尖らせる間宮様を、夕霧様があっという間に引きずっていった。
「…あんなでも、一応認めてもらってんだよ」
あの桜の下に立ちながら、ふと、弓鶴様の目が慈しむように細められる。