あなたに映る花
よくわからなくて黙っていると、弓鶴様が言葉を続ける。
「あいつらと俺は、二つしか歳が変わらねえ。年下だが仲間みたいなものなんだ」
「…仲間…」
ひとりごちて呟く。
私には、ないもの。
幼い時から兄上しか兄弟はいなくて、後は父上から与えられたものだけ。
……自分の伴侶でさえも、父上が決めた相手。
心が、体が、抱えきれない恐怖と虚しさに震える。
弓鶴様の僅かな微笑みが、私を見て消えた。
「……景?」
「……んで……」
「どうした?」
弓鶴様が、私にそっと手を伸ばす。
そっと頬に当てられるそれを、両手でキュッと掴んだ。
「なんで…こんなに触れたくなるんですか…?」
「おい…」
「なんで、弓鶴様と一緒にいると…嬉しくて、もっと一緒にいたくなって……」
弓鶴様の指先が微かにうごめく。
彼の手を、私の涙が濡らした。