あなたに映る花


『八月十三日夜、外出の際大勢の恨み重なる者達約数十名に取り囲まれ、猛然と応戦したものの死去。斎藤弓鶴 享年二十歳』





凛の驚愕の表情を最後に、私の意識は途絶えた。











「―――の―――なり――」


遠くで、誰かの朗々とした声が聞こえる。

口に流れてくるのは、どこかほわんとする冷たい液体。


……婚儀か、何かだろうか。

弓鶴様……








「…姫様…まだ、お戻りにならないのですね………」


凛?

何を言っているの?

私は此処に………弓鶴様の傍に…………

「…もうすぐ、床入りなのに…どうやって説明しよう…」



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