あなたに映る花
……とこ……い、り…?
―――バアン!
「ひゃっ!?」
「姫様!?」
突然響いた鋭い音に、私は目を開いた。
目の前には、いつもよりずっと綺麗な凛の顔。
だがそれを台なしにするほど驚いた顔に、私は思わず吹き出してしまった。
「り、凛?」
……いつもなら、怒声が飛んでくるのだけど…
「ッ姫様!どんだけ心配したと思ってんですか!」
「え?」
――意味がわからない。
ポカンとする私に、凛は説明するより早いと思ったのか、さっと手鏡を出した。
「――凛、これは……?」
鏡に映るのは、髪を下ろし白い着物を着た私。
軽く薄化粧もされていた。
びっくりして触ると、なんと一枚しか着ていないではないか。
……まさか。
「凛、今は…」
ようやく今の状況を理解した私は、恐る恐る凛に問う。
凛は大きく溜め息をついた。
「……婚儀の夜、これから床入りに向かうための準備をしていたんです」