あなたに映る花
「よし。それじゃあ…」
誠二先輩があたし達をさっと見た。そして景くんに問い掛ける。
「どうする?演劇部にくるかい?」
景くんも、あたし達を見た。あたしと目が合ったとき、あたしはニコッと笑ってみせた。
景くんは、笑い返してくれた。
「…――はい!よろしくお願いします!」
その元気な声に、あたしは思わず顔が緩んだ。
左右を見ると、良太と拓真も笑っている。
ずっと景くんが纏っていた儚げな雰囲気が、雲散霧消した。
窓の外に目をやると、桜が舞い落ちていた。