あなたに映る花
その艶やかさは若葉を匂わせ


――5月。
景くんが入部して、少したった頃―


「顔は完璧、表情もリアル、声は良くとおる…」

マナ先輩が、景くんの肩をガシッと掴んだ。

「よくぞ我が部に来てくれた!」
泣き崩れる真似をするマナ先輩に、景くんはニコニコして答えた。

「いえいえ。まだ先輩方には及びません」

「なんていいヤツ…!」
良太(バカ)が感動している。
あたしと拓真は顔を見合わせ、同時に吹き出した。

「マナ、新入部員の稽古は順調?」
入り口が開き、誠二先輩が入って来た。

「あ、誠二先輩。プリン買えました?」
「うん。今日は売店空いてた」
まあこの人の場合、商品棚に無くても売店のおばさんがとっといてくれてんだけど。


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