あなたに映る花
「……へ?」
あたしは、思わず素っ頓狂な声を出してしまった。
マナ先輩がいぶかしげに美香先輩を見る。
「…ホント?」
美香先輩は、真っ直ぐマナ先輩を見た。
いつになく真剣な目。
「…ホントよ。ウソだと思うなら、読んでみて」
そう言うと、学校指定の茶色い鞄から一冊の本を取り出した。
「…『水鏡に映る花』?」
誠二先輩が題名を読み上げる。
「読んでみて。決定権はマナに預ける」
「…わかったわ」
マナ先輩はその本を鞄にしまった。
「少なくとも官能小説じゃなさそうだし。読んでみるわね?」
マナ先輩がため息をつきながら言うと、美香先輩の顔がパアッと明るくなった。
「ありがとマナ!それでね…」
美香先輩が景くんを見た。
景くんはじっと美香先輩を見る。