あなたに映る花


―――次の日。

あたし達は、いつものように部室の扉を開いた。

「美香愛してる~!」

……は?

「なんなんだよ?」
「マナ先輩の声だねー」
良太と拓真が首を傾げる。

あたしは、恐る恐る中に入った。

―――これは一体どういう状況だろう。

マナ先輩が泣きながら美香先輩に抱き着いていた。

あたしは、困った顔をしている景くんに声をかける。

「…なにこれ?」
あたしの顔を見た景くんは、あらかさまにほっとした顔をした。

「実は…昨日美香先輩から受け取っていた本がとても良かった、とかで……」

……なるほど。

いつまでも美香先輩にひっついているマナ先輩に、誠二先輩が声をかけた。

「マナ。二年生ズ来たよ?」


< 34 / 168 >

この作品をシェア

pagetop