あなたに映る花
台本はそこで終わっていた。
――なんて。
なんて哀しい話なんだろう。
あたし達三人は、しばらく動かなかった。
だけど。
顔を真っ青にした景くんが、美香先輩に詰め寄った。
「…この本は…どこで手に入れたんですか!?」
「え!?どこって、普通に、本屋…?」
どうしたんだろう。
景くんの様子がおかしい。
「作者の名前は!?」
「え、え~っと…逢留蘇途人(あいりゅうすずと)?」
美香先輩の答えを聞いた途端、景くんの勢いがシュンと消えた。
「え?何?も、もしかして気に入らなかった…?」
美香先輩の残念そうな声に、景くんは慌てて首を振った。
「そんなことないです!…ただ…」
景くんが俯く。
「…私で、いいんでしょうか。この…景姫、役を」