あなたに映る花

「私が…女性になることが出来るなら…なりたい…でも」

「でも?」

マナ先輩が優しく促すと、景くんは躊躇いながら口を開いた。

「…私が景姫役をやるとして、相手役は誰がやるんですか?」

「ん…そうね。どうするの?美香」

マナ先輩が美香先輩の方を見る。
美香先輩は悩ましげにこめかみを押さえた。

「それなのよ…。うちの部の人間は誠二以外殺陣(たて)が出来ないのよね」
殺陣…斬り合いのシーンか…。

確かに、誠二先輩はともかく良太と拓真は出来ない…。

「…どうするつもりなんすか」
良太が若干不機嫌そうな顔で言う。

「剣道部から借りてこようと思ってる。ほら、剣道部って見目麗しい男子率高いじゃない?」

美香先輩の答えに、マナ先輩はうんうんと頷く。

「ま、それが妥当よね。…相手役は、私と美香が責任持って選んでくるわ」

それを聞いた景くんは、あんまり安心できてないみたい。


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