あなたに映る花

そういう拓真の目も、景くんを睨みつけている。

「ちょ、ちょっとどうしたの二人とも?」

あたしは二人に歩み寄った。
すると良太が、思いもかけないことを言う。

「…なあ、佑はくやしくねえのかよ?」

「………え?」

くやしい?
あたしが?

「なんで?」

あたしがそう問い返すと、


「…っこんな男か女かもわかんねぇ得体の知れないやつに、主役盗られていいのかっつってんだよ!!!」

「は?え、ちょ…」

戸惑うあたしを無視して、良太はずかずかと景くんに歩み寄る。

あたしは急いでその間に入ろうとした。
けど――

「…やめときな、佑」

拓真に止められる。
「離して拓真!このままじゃ景くんが…」

「俺は、これは必要なことだと思うよ」
「なに、言って…!」

「良太の奴、そろそろガス抜かないと、佑が怪我する」


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