あなたに映る花


はあ!?

「怪我するって…あたしはダメで、景くんは良いわけ!?」

拓真は、低い声で答えた。

「…佑よりマシだ」


あたしと拓真、そして良太は、中学時代からの馴染み。

拓真は冷静で、良太は負けん気が強かった。
三人でいつも一緒にいた。
だけど…
中学二年のとき、良太のひとつ下の妹が死んだ。

不良グループに絡まれた挙げ句、散々好き放題されて、元々心臓に疾患を持っていた彼女はショック死してしまった。

――それから、良太は変わった。

誰彼構わず八つ当たりするようになった。

時々感情を抑えられず、爆発してしまうと歯止めがきかなくなる。

そういう時、大事にならないように上手く諌めるは、あたしと拓真だった。
だけど無傷というわけにはいかず…。
怪我をするときもあった。

だけど大概は拓真があたしを庇ってくれたおかげで、酷い怪我はしてない。

それに、良太を諌めるのがあたし達の役目だと思っていた。


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